2、災害保険給付(死亡) |
死亡による災害保険給付は、遺族に対する被扶養の逸失利益の補填として遺族(補償)給付、葬祭の費用を補填する葬祭料の2つがあります。 |
@ 遺族(補償)給付 遺族補償給付は、原則として年金として支給し、一定の場合に限り一時金が支給されます。 1、遺族(補償)年金 (1)支給要件 労働者が業務上又は通勤中の災害により死亡した場合、一定の遺族(=受給資格者)に、その者からの請求に基づいて支給します。 ア、受給資格者 労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持されていた下表の者で、それぞれに付された年齢・障害の要件いずれかを満たす者に限られます。 イ、受給権者 遺族(補償)年金は、受給資格者のうち最先順位者が受給します。この者を受給権者と言います。同順位者が2人以上いるときは、その全員が受給権者となります。受給資格者には下表のように優先順位が付けられています。 (2)受給額 受給権者及びその者と同一生計の受給資格者の人数によって下表のように定められています。ただし、イの若年支給停止の状態にある者は、人数に含みません。 下記に該当するときは、該当することとなった月の翌月から遺族(補償)年金の額を改定します。 (3)請求手続 受給権者は、事業主の証明を受けた遺族補償年金支給請求書(様式第12号)又は遺族年金支給請求書(様式第16号の8)を労働基準監督署に提出します。 受給権者が複数いる場合は、遺族補償年金代表者選任(解任)届(年金様式第7号)を提出することにより代表を決めて請求手続を行い、支給される年金を受給権者間の合意の割合で分割します。 請求に必要な添付書類は次の通りです。
(3)年金給付基礎日額のスライド制と支給限度額 遺族(補償)年金にも、傷病(補償)年金や障害(補償)年金と同様、算定事由発生の翌々年度以後スライド制の適用があります。スライド制等の詳細はコチラからご覧ください。 一方、支給限度額は算定事由発生当初から適用があります。 (4)受給権の消滅 受給権者が次の事由に該当するに至ったときは、その者の受給権が消滅(失権)します。また、受給資格者についてはその者の受給資格が消滅(失格)します。 (5)転給 受給権者が失権して他に同順位者がいない場合、次順位者に受給権が移転します。これを転給と言います。転給は受給資格者がいる限り繰り返されます。 次順位者は、転給の手続として、遺族(補償)年金転給等請求書(様式第13号)を労働基準監督署に提出します。 手続に必要な添付書類は次の通りです。
2 遺族(補償)年金前払一時金 障害(補償)年金同様、まとまった資金が必要になる場合を考慮し、前払い制度を設けてあります。 (1)支給要件 労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持されていた受給権者であること(若年支給停止者も請求できます)。 (2)支給額 給付基礎日額の、200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分のうち、受給権者が選択した額を、同一事由に関し1回限り請求できます。 (3)請求手続 請求先はいずれも労働基準監督署で、遺族(補償)年金前払一時金請求書(年金様式第1号)を提出します。 ・原則:遺族(補償)年金の請求と同時に行います。 ・例外:遺族(補償)年金の支給決定通知日の翌日から1年間は事後請求ができます。 (4)支給停止 遺族(補償)年金前払一時金が支給された場合には、遺族(補償)年金は、各月に支給されるべき額(1年経過後は年5%の単利で割り引かれた額)の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間、支給停止になります。 3、遺族(補償)一時金 (1)支給要件と支給額 最低保障額を給付基礎日額の1,000日分として、下表のように定めています。 (2)受給資格者と受給権者 下表の受給資格者のうち、最先順位者が受給権者となります。 (3)請求手続 受給権者は、遺族補償一時金請求書(様式第15号)又は遺族一時金支給請求書(様式第16号の9)を労働基準監督署に提出します。 請求に必要な書類は次の通りです。
A 葬祭料(葬祭給付) 1、支給要件 死亡労働者の葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて支給します。 「葬祭を行う者」は、必ずしも喪主など、葬祭を取り仕切る者であることはなく、葬祭を行うと認められる者であれば足ります。 また、葬祭を行う遺族がいないため死亡労働者の勤務先が葬祭を行った場合は勤務先に支給、遺族はいるが勤務先が恩恵的に葬祭を行った場合は遺族に支給されます。 2、支給額 次のいずれか高い方の額が支給されます。 ア、315,000円+給付基礎日額の30日分 イ、給付基礎日額の60日分 3、請求手続 葬祭を行う者は、葬祭料請求書(様式第16号)又は葬祭給付請求書(様式第16号の10)を労働基準監督署に提出します。 このとき、遺族(補償)給付の請求とは別に請求を行う場合は、死亡診断書、死体検案書又は検視調書の写しなど、労働者の死亡の事実及び死亡の年月日を証明する書類を添付することが必要です。 |