行政書士 五藤事務所

遺言の効果
せっかく作成した遺言書は、自分の死後に効力を発するものですから、本当に書いた通り執行されるかどうかを確かめる術は本人にはありません。しかし、遺言執行者に信頼できる人物を定め、付言事項に遺言書の内容に至った理由を明記することで、きちんと遺言の内容が書いた通りに執行されるものと思われます。
当事務所では、皆さんが遺言を作成なさるお手伝いとして、遺言の作成指導や原案の作成、公正証書・秘密証書遺言作成時の証人、さらには遺言執行者と、遺言の作成から執行まで全てに渡りサポートさせていただきます。詳細をご希望の方は下の「相談したい!」からお問い合わせください。
@ 遺言の発効時期
遺言は、
遺言者の死亡の時からその効力を発します(民法第985条1項)。また、遺言に停止条件(民法第127条1項)を付した事項は、その条件が成就した後に効力を発します(民法第985条2項)。

A 遺贈
遺贈とは、
遺言により被相続人の財産を相続人又は相続人以外の人や法人に無償譲与することを指します。遺言でなければできない法律行為です。
大きな特徴は、自己の財産を
相続人以外の者に無償譲与することができる点です。
遺贈には、
民法第964条本文により2通りの方法があります。

1、包括遺贈

遺言者が「包括」の名義で「その財産の全部又は一部を処分することができる」ものです。
例としては、
Aに全財産の6分の1、Bに2分の1、Cに3分の1を遺贈する
と遺言書に書けば、それが包括遺贈に該当します。
メリットは、
財産の内容に変化があっても割合で指定されているため分割には影響が少ないこと、デメリットは、借金も財産に含みそれも受贈しなければならないことです。

2、特定遺贈
遺言者が「特定」の名義で「その財産の全部又は一部を処分することができる」ものです。
例としては、
Aに預金を、Bに土地家屋を、Cに有価証券を遺贈する
と遺言書に書けば、それが特定遺贈に該当します。
メリットは、
借金を受贈することがないこと、デメリットは財産の内容に変化があると分割にその影響が大きく現れることです。

B 遺贈の放棄
遺贈はあくまで遺言者からの一方的な申出であるため、受遺者を完全に束縛することはできません。こと包括遺贈で多額な借金がある場合等、受遺者自身に大きな不利が明確である場合はあまりに理不尽です。そこで、
民法第986条は受遺者が遺贈を放棄することを認めています。

1、包括遺贈の場合
「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」(
民法第990条)ため、遺贈の放棄は相続放棄と同等とみなされ、遺贈があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に遺贈放棄の申述をしなければ放棄ができません。

2、特定遺贈の場合
「受遺者は、遺言者の死亡後、
いつでも、遺贈の放棄をすることができ」ます(民法第986条1項)。ただし、第987条により、遺贈義務者から期限を定めて催告があった場合は、その期限内に放棄の意思表示をしない限り、放棄ができなくなります。

C 相続と遺贈の違い
遺言による相続と遺贈は似て非なるものです。遺言による相続は相続人に対してのみすることができますが、遺贈は前述の通り相続人だけではなく相続人以外にもすることができます。
遺贈は
民法第964条に規定がありますが、遺言による相続は民法ではなく判例で、遺産分割の方法民法第908条を指定した遺言であり、遺言者の死亡によって直ちに相続の承継の効果が生じるものと認められています。
実際に、
相続人に財産を無償譲与する場合は、「相続させる」と遺言書に書いた方が相続人にとって有利です。
例えば、不動産を
遺贈により取得した場合は所有権移転登記を経なければその所有権を第三者に対抗できない上、所有権移転登記には他の相続人の協力が必要で、登録免許税として原則として価格の2%が必要となります。
一方、不動産を
遺言による相続により取得した場合は、所有権の移転を登記を経ずに第三者に対抗することができる上、本人単独で所有権移転登記を行うことができ、登録免許税も0.4%で済みます。

D 遺言の内容と異なる遺産分割
遺言は遺言者からの一方的な申出であるため、相続人・受遺者を拘束するにも限界があります。その主な限界の一つが遺贈の放棄であり、もう一つが遺言の内容と異なる遺産分割です。
遺言で協議による遺産分割を禁止した場合を除いて、
いつでも相続人全員の同意があれば、遺言の内容と異なる遺産分割協議を行うことができます。
なお、
遺言執行者の指定があった場合にはその者の同意も必要です。相続人全員で同意していても、遺言執行者の同意を得なければ、遺言執行の妨害になるためです(民法第1013条)。
当事務所では、皆さんが遺言を作成なさる参考までに、少しばかり遺言の文例をご用意いたしました。「遺言の例」のページからご覧ください。ただし、あくまで例は例なので、実際に遺言の作成をご検討になる場合は当事務所までご相談ください。遺言の作成指導や原案の作成、公正証書・秘密証書遺言作成時の証人、さらには遺言執行者と、遺言の作成から執行まで全てに渡りサポートさせていただきます。下の「相談したい!」からお問い合わせください。
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