自筆証書遺言は、その名の通りすべて自筆で書きあげた遺言書です。費用が全くかからない反面、内容が法律に反していないか、また形式が間違っていないか、等々、自分で確認しながら作成しなければならないデメリットがあります。当事務所では自筆証書遺言の作成指導や遺言案作成を承っております。 | |
@ 遺言に書いていいこと 「遺言の決まり」では「遺言に書かなければならないこと」を説明しました。「書かなければならないこと」は必要最低限の事項なので、実際には「書いていいこと」は他にもたくさんあります。すべての遺言に共通した事項なので、ここで挙げておきましょう。 |
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1、相続人への相続内容 2、遺贈(民法第964条) 3、子の認知(同第781条1項) 4、未成年後見人の指定(同第839条) 5、未成年後見監督人の指定(同第848条) 6、相続廃除(同第893条) 7、相続廃除の取消(同第894条2項) 8、相続分の指定(同第902条)…法定相続分と異なる相続分にしたい場合 9、遺産分割方法の指定(同第908条) 10、遺産分割の禁止(同条)…5年以内の期間を指定して分割を禁止できる 11、相続人間の担保責任の指定(同第914条) 12、遺言執行者の指定(同第1006条)…親族でも外部者でもよい 13、遺贈減殺方法の指定(同第1034条)…減殺請求されたときの減殺方法を指定する場合 14、特別受益分の修正免除(同第903条3項)…相続分の計算時、遺留分を侵害しない範囲で受益分修正を免除 15、一般財団法人設立(一般社団・財団法人法第152条2項) 16、信託の設定(信託法第3条の2) 17、祭祀承継者の指定(民法第897条) 18、付言事項…葬儀の要望、家族への感謝の言葉、子孫への希望等思うことを自由に書いてよい |
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幼い子がいる場合は4・5が、相続人以外の人に遺贈する場合は13・14が、その他遺産相続に関係のない事項は18にそれぞれ書いておくと、争いを予め防ぐことができるかと思われます。
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A 自筆証書遺言の決まり 民法第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。 |
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このように、自筆証書遺言の形式は明確に定められており、これに従わない自筆証書遺言は効力をもちません。 そのため、自筆証書遺言は、遺言者が自分で字を書けるうちに作成しておく必要があります。 内容の変更は、以前作成したものを加除修正するか又は破棄して再作成することにより、いつでも可能です。 |
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B 作成後の注意 遺言書が完成したら、封筒に入れて封印・捺印します。封印は必要事項ではありませんが、改ざん・毀損を防ぐためです。 表には「遺言書」と記入し、裏には作成日を記入しと署名捺印をします。 なお、自筆証書遺言は執行前に家庭裁判所の検認を必要とします(民法第1004条)から、「開封前に家庭裁判所の手続を受けること」と注意書きを施すことも重要です。 紛失防止のため、最低でも配偶者には保管場所を教えておく方がよいでしょう。また、自分でもわかりやすい場所に保管しておくことが望ましいと言えるでしょう。
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