遺言の決まりはおおまかにはわかりました。では、次に遺言には、どのようなものがあるか紹介し、それぞれについて簡単に説明していきます。 |
@ 普通方式と特別方式 遺言は、まず民法第967条〜第975条で定める「普通方式」と、第976条〜第984条で定める「特別方式」とに分けられます。 1、普通方式 普通方式の遺言は、民法第967条により、自筆証書・公正証書・秘密証書の3種類に限られています。 遺言書の要件を自由に認めてしまうと、その正当性が失われてしまうためです。特別方式が認められる場合に該当しない限り、この3種類の中から選択して作成することになります。 2、特別方式 特別方式の遺言は、 一、死亡の危急に迫った者(民法第976条) 二、伝染病隔離者(第977条) 三、在船者(第978条) 四、船舶遭難者(第979条) に限り、証人2名ないし3人以上の立会いの下、普通方式に比べて簡易な手続ですることができます。 |
A 普通方式の遺言 1、自筆証書(民法第968条) 「遺言の決まり」でも取り上げたように、全て自分で記入し、自分で署名捺印する、一番簡易かつ費用を要しない方法です。 しかし、簡易かつ費用を要しないがゆえに改ざん・紛失の可能性をはらんでいます。 2、公正証書(同第969条) 自分で考えた遺言の内容を、公証人役場に出向いて公証人の前で口述し、それを公証人が筆記していく方法です。 公証人への手数料として公証人手数料令別表に定める手数料(最低5,000円〜)に同令第19条で定める遺言加算11,000円を加えた費用が必要です。さらに、証人2名以上が必要なため、その人たちへの謝礼も場合により必要になります。 費用がかかるだけあって、遺言の改ざん・紛失はもちろん、その有効性については公証人のお墨付きですから、遺言書としての安全性・信頼性は抜群です。 3、秘密証書(同第970条) 自作(自筆・パソコン共に可)の遺言書に署名捺印し(第一号)、封入・封印(第二号)したものを公証人役場に出向いて公証人の前で自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述し(第三号)、公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名捺印する(第四号)方法です。 公証人への手数料として公証人手数料令第28条に定める11,000円と証人2名以上に支払う謝礼が必要です。 公正証書に比べて安価に済みますが、公証人はその存在についてお墨付きを与えるだけなので内容については自筆証書と変わりません。また、改ざんの可能性はないものの、紛失の可能性はあります。 |
B 特別方式の遺言 1、死亡の危急に迫った者 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない(民法第967条1項)。 2、伝染病隔離者 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる(同第968条)。 3、在船者 船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる(同第969条)。 4、船舶遭難者 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる(同第970条1項)。 5、共通事項 一、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から六箇月間生存するときは、その効力 を生じない(同第983条)。 二、領事駐在地の在外邦人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事 が行う(同第984条)。 特別方式による遺言はあくまで急を要するやむを得ない事情の下で作成されたものなので、危急等が去った後はその効力を失わせることが原則であり、希望する場合は改めて普通方式による遺言をすることが必要です。 |