病気や怪我、事故や災害など、人の死はいつ訪れるかわかりません。不幸にも幼い子どもや妻を残して逝ってしまった場合、生命保険をかけていればそれなりの保障は得られますが、かけていなければその後の収入は絶たれてしまいます。生前に年金をきちんと納めておけば、そんなときの生活保障の足しとして年金を支給してくれます。 |
@ 遺族基礎年金 遺族年金にも、各年金制度ごとに遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金の3種類と、その他国民年金の制度として寡婦年金・死亡一時金、厚生年金保険の制度として特例遺族年金があります。このページでは、障害基礎年金と障害厚生年金について触れていきます。 1、遺族基礎年金の受給要件(国民年金法第37条) 遺族基礎年金の受給要件は下記のとおりです。
2、遺族基礎年金の支給額(国民年金法第38条・第39条) 遺族基礎年金の支給額は下記のとおりです(平成23年度価額)。 ア、妻の加算額の増額改定 ・妻が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が出生したとき →出生の日の属する月の翌月から増額 イ、妻の加算額の減額改定 ・2人以上の子がある場合で、そのうち1人の子を除く子に下記のいずれかの事由が生じたとき(1人しか子がいない場合に下記事由が発生したら受給権失権) →事由が生じた日の属する月の翌月から減額 ウ、子の加算額の改定 遺族基礎年金の受給権を有する子の人数が増減したときは、その翌月から加算額を改定 3、遺族基礎年金の受給権の失権(国民年金法第40条) 次の事由が発生した場合は、遺族基礎年金の受給権は消滅します。 ア、妻・子共通事由 (1)死亡 (2)婚姻 (3)養子縁組(直系血族又は直系姻族の養子になったときを除く=実父・義母等の養子ならよい) イ、妻の失権事由 ・遺族基礎年金の受給事由となっている子のすべての子が、「妻の加算額の減額改定」(上記赤枠)の事由のいずれかに該当した場合(遅くとも子が全員20歳に到達したらその時点で失権します) ウ、子の失権事由 ・「妻の加算額の減額改定」(上記赤枠)の事由の(4)及び(6)〜(8)のいずれかに該当した場合 |
A 国民年金のその他の遺族給付 前述のとおり、国民年金には遺族基礎年金の他、寡婦年金と死亡一時金の制度があります。 1、寡婦年金(国民年金法第49条〜第52条) 寡婦年金は、子のない妻に対し、生活保障と保険料の還付の意味合いで、60歳〜65歳の間に支給されます。 ア、支給要件 寡婦年金の支給要件は下記のとおりです。
イ、支給開始時期 ・夫の死亡時、60歳以上の妻であったとき→夫の死亡日が属する月の翌月から支給 ・夫の死亡時、60歳未満の妻であったとき→妻が60歳に到達した日の属する月の翌月から支給 ウ、支給額 死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間にかかる保険料納付済期間と保険料免除期間につき、老齢基礎年金と同様の計算で算出した年金額の4分の3相当額 エ、失権 下記の事由のいずれかに該当したときには、寡婦年金の受給権は消滅します。 (1)65歳到達 (2)死亡 (3)婚姻 (4)養子縁組(直系血族又は直系姻族の養子になったときを除く) (5)繰り上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき 2、死亡一時金(国民年金法第52条の2〜第52条の4) 死亡一時金は、遺族基礎年金の支給対象にならない夫などに対して保険料の還付の意味合いで支給されます。 ア、支給要件 死亡日前日に死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間のうち、(1)〜(4)の合計が36か月以上である者が死亡した場合 (1)保険料納付済期間の月数 (2)保険料1/4免除期間×3/4の月数 (3)保険料半額免除期間×1/2の月数 (4)保険料3/4免除期間×1/4の月数 イ、遺族の範囲 →死亡当時、死亡者と同一生計であった、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 ウ、死亡一時金の不支給事由 次の事由のいずれかに該当する場合は、死亡一時金を受給できません。 (1)老齢基礎年金又は障害基礎年金を受給したことがある者が死亡したとき (2)遺族基礎年金を受給できる者があるとき(死亡日の属する月に失権したときを除く) (3)胎児が生まれたことにより、遺族基礎年金の受給権を取得したとき エ、支給額 前述アで求めた月数を基に、下記のとおり支給額が定められています。 ※死亡一時金の支給を受ける者が、寡婦年金も受けることができる場合は、死亡一時金又は寡婦年金のどちらか一方がその者の選択により支給されます。
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B 遺族厚生年金 遺族厚生年金は遺族基礎年金と異なり、支給対象となる遺族の範囲を広く設定しており、遺族基礎年金は受給できなくても遺族厚生年金は受給できたという場合が少なくありません。 1、遺族厚生年金の受給要件(厚生年金保険法第58条) 遺族厚生年金の受給要件は下記のとおりです。 2、遺族厚生年金の支給額(厚生年金保険法第60条) (1)原則=報酬比例部分の老齢厚生年金額の4分の3 (2)65歳以上の配偶者の年金額 65歳になると老齢厚生年金を受給できるようになるため、下記のいずれか多い方を、法律上当然に支給されることになります。 ア、(1)の金額 イ、(1)金額の3分の2+老齢厚生年金額の2分の1 (3)特例(国民年金法附則(昭和60年法律第34号第74条)) ア、妻に支給する遺族厚生年金の額には、厚生年金被保険者の死亡当時、その妻が遺族の範囲に該当する子と同一生 計であったにもかかわらず、遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、遺族基礎年金額及び子の加算額相当額を 加算する。 イ、子に支給する遺族厚生年金額には、厚生年金被保険者の死亡について、その子が遺族基礎年金の受給権を取得し ないときは、遺族基礎年金額相当額を加算する。 (4)年金の加算 ア、中高齢寡婦加算(厚生年金保険法第62条) →子のない妻に加算を行い、遺族基礎年金が受給できない分の不均衡是正を目的とします。 ・加算要件 1、夫の死亡時、40歳以上65歳未満の妻 2、40歳に到達したときに、夫の死亡当時から同一生計の、遺族基礎年金の支給要件を満たす子のある妻 のいずれかを満たす場合です。 ・加算額 遺族基礎年金額の4分の3にあたる、591,700円(平成23年度価額)が加算されます。 イ、経過的寡婦加算(国民年金法附則(昭和60年法律第34号第73条)) →新法施行日の昭和61年4月1日において30歳以上である場合は、公的年金に任意加入していなかった場合に65歳以降 の自分の老齢基礎年金額が中高齢寡婦加算額を下回る場合があるため、遺族厚生年金額に一定額を経過的に加算 します。 ・加算要件 →昭和2年4月2日以降昭和31年4月1日以前に生まれた妻が、 ・65歳以降遺族厚生年金の受給権者となった ・中高齢寡婦加算を受けた遺族厚生年金を受給していた受給権者が65歳に達した ・加算額 →中高齢寡婦加算額(591,700円)−老齢基礎年金×乗率(若い人ほど高い) 3、遺族共済年金との併給調整(厚生年金保険法第64条の2) 遺族厚生年金と遺族共済年金との間の併給調整には、下記のように特殊なルールがあります。 4、失権(厚生年金保険法第63条) 次の事由が発生した場合は、遺族基礎年金の受給権は消滅します。 (1)共通の失権事由 ア、死亡 イ、婚姻 ウ、養子縁組(直系血族及び直系姻族の養子となったときを除く) エ、離縁 (2)子・孫の失権事由 ア、18歳年度末の終了 イ、障害等級1級又は2級に該当しなくなった ウ、20歳に到達した (3)父母・孫・祖父母の失権事由 ア、被保険者等の死亡当時胎児であった子が出生した (4)30歳未満の妻の失権事由 ア、遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、遺族厚生年金の受給権取得日から5年経過すること イ、遺族厚生年金と遺族基礎年金の受給権を有する妻が、30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅 したときは、消滅日から5年経過すること |
C 特例遺族年金 特例遺族年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年未満の者が死亡した場合で、かつ遺族厚生年金を受給しない場合に支給されます。 1、支給要件 ・死亡者の厚生年金被保険者期間が1年以上あり、 ・老齢厚生年金の受給資格期間25年を満たさず ・厚生年金被保険者期間と旧共済組合の組合員期間との合計が20年以上ある者 が死亡した場合において、 ・遺族厚生年金の受給権を取得していないとき 2、支給額 ・特別支給の老齢厚生年金の額の50% |
65歳を迎えると、受給できる年金の枠組みが大きく変化し、自身の選択によってはそれまで受給していた年金額より損をしたり得をしたりすることがあります。また、自身の年金でも見落としている部分がある場合があります。具体的に、いくら受給できるか知りたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。試算して的確に回答させていただきます。ご希望の方は下記リンクの「相談したい」からお問い合わせください。 |