不幸にして予期せぬ病気や災害で障害が残ってしまった場合、一生その障害とつきあっていかなければなりません。障害を抱えていては仕事をすることもままならないのが現状で、生活の糧に困ってしまう場合も少なくありません。生命保険をかけていた人はまだしも、何の備えもしていなかった人にとっては路頭に迷ってしまいます。そんなときに、少しでも障害を負った人の生活費の保障をしようというのが障害年金です。 |
@ 障害基礎年金 障害年金には、各年金制度ごとに障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の3種類と、障害基礎年金の中の特例として、20歳前の傷病に基づく障害基礎年金があります。このページでは、障害基礎年金と障害厚生年金について触れていきます。 1、障害基礎年金の受給要件(国民年金法第30条) 障害基礎年金は、前述のように20歳後の傷病に基づくもの(一般の障害基礎年金)と20歳前の傷病に基づくものとに分けられます。 ア、一般の障害基礎年金の受給要件 一般の障害基礎年金を受給するためには、下記の要件をすべて満たすことが必要です。 ただし、障害要件は、老齢基礎年金の繰上げ請求をしておらず、かつ65歳に達する日の前日までの間に満たせば、その時以降障害基礎年金の受給権が発生します(次項参照)。 イ、事後重症・基準障害による障害基礎年金(国民年金法第30条の2・30条の3) 障害認定日に障害等級1級又は2級に該当しなかった場合、障害基礎年金を受給できるチャンスが全くなくなるわけではありません。 事後重症の場合は年金受給のためには、原則として65歳に達する日の前日までの間に支給を請求しなければなりません。しかし、例外として、障害厚生(共済)年金3級を受給している場合は、これらの年金額の改定に伴い障害基礎年金の請求があったものとみなされるため、請求は不要とされています(国民年金法第30条の2・4項)。 一方、基準障害の場合は65歳に達する日以降であっても、請求があった月の翌月から支給が開始されます。 ウ、20歳前の傷病に基づく障害基礎年金(国民年金法第30条の4) 原則として国民年金は20歳以上60歳未満の国民を対象にしていますが、例外として国民年金加入前の20歳前に障害の原因となる傷病が発生した者にも障害基礎年金を支給することとしています。 2、併給調整 併給調整は大きく2つあります。 ア、併合認定(国民年金法第31条) 先に認定された障害により障害基礎年金2級を受給していた者が、後にさらに障害基礎年金を支給する事由が発生した場合は、2つの年金受給権を併合して障害基礎年金1級として支給するものです。この場合、従前の障害基礎年金の受給権は消滅します。 ただし、 (1)先に認定された障害による障害基礎年金が期限付の支給停止中である場合 (2)後に認定された障害による障害基礎年金が労働基準法第82条に定める労働災害の分割保障を受けるため、6年間支給停止となる場合 は、それぞれの支給停止期間が満了するまで併合認定は行われません(国民年金法第32条)。 イ、旧法の障害年金との併給調整(国民年金法附則(昭和60年法律第34号第26条)) 昭和61年4月1日前に受給権が発生した旧法に基づく各種障害年金の受給者に、さらに障害基礎年金を支給する事由が発生した場合は、2つの年金を併合認定します。しかし、従前の旧法に基づく各種障害年金の受給権は消滅することはなく、併合認定された年金か、旧法の年金かのいずれかを選択受給することになります。 3、障害基礎年金の支給額 障害基礎年金の支給額は下表のとおりです(平成23年度価額)。 子の加算額の受給要件は、平成23年4月の「」施行により、障害基礎年金の受給権発生後に子の生計維持要件を満たすことになった場合でも、加算対象の子として認められるようになりました。 ただし、受給権発生後の子の加算額増額には申請が必要です。
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A 障害厚生年金 障害厚生年金の制度には、1〜3級の障害厚生年金と、障害等級がそれを満たさない者のための障害手当金があります。 1、障害厚生年金の受給要件(厚生年金保険法第47条) 障害厚生金を受給するためには、下記の要件をすべて満たすことが必要です。 ただし、障害要件は、老齢基礎年金の繰上げ請求をしておらず、かつ65歳に達する日の前日までの間に満たせば、その時以降障害基礎年金の受給権が発生します(次項参照)。 いずれも障害基礎年金の受給要件とよく似ていますが、 1、初診日に厚生年金保険の被保険者でなければならない 2、障害等級は3級までに該当すればよい の2点が異なります。厚生年金保険は労働者が加入する年金保険であり、労働能力の喪失という見地から障害基礎年金に比べて対象者を現役の被保険者に絞り、等級を3級までにすることで支給対象者の幅を広げているという特徴があります。 2、事後重症・基準障害による障害基礎年金(厚生年金保険法第47条の2・30条の3) 障害厚生年金も障害基礎年金同様、障害認定日に障害要件を満たさなかったとしても、その後、下記の事由に該当すれば障害厚生年金の受給権が発生します。 障害基礎年金のときとは異なり、事後重症の場合は障害認定日の後で1級〜3級に該当すれば足りますが、基準障害の場合は、元々の障害が障害等級3級ですでに障害厚生年金を受給していても、1級又は2級を満たさない基準障害が加わることにより障害等級が1級又は2級に改定されます。 3、併給調整 併給調整も基本的には障害基礎年金と同様です。 ア、併合認定(厚生年金保険法第48条) 先に認定された障害により障害厚生年金2級を受給していた者が、後にさらに障害厚生年金を支給する事由が発生した場合は、2つの年金受給権を併合して障害厚生年金1級として支給するものです。この場合、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します。 障害厚生年金の併合認定においては、支給の当初から障害等級3級の障害厚生年金を受給していた者は障害基礎年金の受給権を有しないのでその対象にはなりません。一方、支給の当初障害等級2級だった者がその後の軽減で障害等級3級になっている場合は、障害基礎年金の受給権を有しているので併合認定の対象になります。 イ、旧法の障害年金との併給調整(厚生年金保険法附則(昭和60年法律第34号第69条) 昭和61年4月1日前に受給権が発生した旧法に基づく各種障害年金の受給者に、さらに障害厚生年金を支給する事由が発生した場合は、2つの年金を併合認定します。しかし、従前の旧法に基づく各種障害年金の受給権は消滅することはなく、併合認定された年金か、旧法の年金かのいずれかを選択受給することになります。 4、障害厚生年金の支給額(厚生年金保険法第50条) 障害厚生年金の支給額は下表のとおりです。 配偶者加給年金の受給要件は、その者によって生計を維持する65歳未満の配偶者がいることです。前述の「」施行により、受給権発生後に結婚し生計を維持することになった場合でも加給年金を受給できるようになりました。 ※1 老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額は、昭和21年4月2日以降生まれの人の場合、 でした。しかし、これでは被保険者期間月数が少ない人の保障が少ないことから、被保険者期間月数が300か月未満の人は、被保険者月数を300か月として計算します。 ※2 障害厚生年金3級の受給者は障害基礎年金を受給できないため、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額が、障害基礎年金2級の年金額(788,900円)の4分の3に当たる、591,700円(平成23年度価額)を下回った場合は、最低保障額として、計算により求められた年金額に関わらず591,700円を支給します。 5、障害手当金(厚生年金保険法第55条〜第57条) ア、障害手当金の支給要件 障害手当金の支給要件は下記のとおりです。 イ、障害手当金の支給額 →障害厚生年金3級の支給額×200% ただし、 ・被保険者期間月数が300か月未満の人は、被保険者月数を300か月として計算 ・最低保障額は、障害厚生年金3級の最低保障額の200%である、1,183,400円が一時金として支給されます。
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