社会保険労務士 五藤事務所

                               中高齢者雇用の助成金

年金の支給開始年齢が引き上げが始まった当時、定年退職は60歳が当たり前だったため、何とかして定年年齢を65歳まで引き上げるか、雇用形態は変わっても何らかの形で働き続けて収入が途切れることがないように企業に求めました。そのための助成が「定年引上げ等奨励金」であり、高齢失業者の雇用に対する「特定求職者雇用開発助成金」です。
現在では定年の目標が定年制度自体の撤廃または65歳以上もしくは70歳以上になっています。ここでは、下記の助成金を取り上げます。
1、特定就職困難者雇用開発助成金(特定求職者雇用開発助成金) 4、高年齢職域拡大等助成金(定年引上げ等奨励金)
2、高年齢者雇用開発特別奨励金(特定求職者雇用開発助成金) 5、建設業離職者雇用開発助成金
3、中小企業定年引上げ等奨励金(定年引上げ等奨励金) 6、職場適応訓練費

当事務所では、各企業様がどの助成金を活用できるか、まずは簡単なアンケートからご相談を始めさせていただいております。アンケートは無料で各企業様にお送りし当事務所にて内容を診断させていただきますので、助成金の申請をご検討の企業様はぜひ下記リンク「相談したい」から当事務所までご連絡ください。なお、ここで紹介している助成金の内容については、平成23年7月1日現在のものを掲載しています。当事務所でも随時法改正に合わせて修正していきますのでご了承の上ご覧ください。

@ 特定就職困難者雇用開発助成金(特定求職者雇用開発助成金)
中高年齢者を始め、障害者や母子家庭の母等就職困難な求職者を雇い入れた事業主に支給されます。
受給要件 雇用保険の適用事業の事業主であること
・ハローワーク等の紹介により、下記の求職者を一般被保険者として雇用し、かつ助成金受給終了後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められること
ア、60歳以上の者
イ、身体障害者
ウ、知的障害者
エ、精神障害者
オ、母子家庭の
カ、中国残留邦人等永住帰国者
キ、北朝鮮帰国被害者等
ク、認定駐軍関係離職者(45歳以上
ケ、沖縄失業者求職手帳所持者(45歳以上
コ、漁業離職者求職者手帳所持者(45歳以上
サ、一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者(45歳以上
シ、認定港湾運送事業離職者(45歳以上
ス、アイヌの人々(北海道に居住し、ハローワーク等の紹介による、45歳以上
・対象労働者の雇入れ前後6か月間に事業主都合による解雇をしていない、又は特定受給資格者となる離職者を3人超かつ被保険者数の6%超発生指せていないこと(以下、解雇等要件という)
・対象労働者の出勤状況、賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等)を整備・保管していること(以下、帳簿要件という)
・資本・人事・資金・取引等の状況から見て、対象労働者を雇用していた事業主と密接な関係にないこと
受給額 高齢者・母子家庭の母等 重度障害者等 重度障害者等以外の
身体・知的障害者
短時間労働者以外 中小企業 90万円/1年 240万円/2年 135万円/1年半
大企業 50万円/1年 100万円/1年半 50万円/1年
短時間
労働者
中小企業 60万円/1年 90万円/1年半
大企業 30万円/1年 30万円/1年
※助成金は6か月ごとに分割して支給されます。上記の金額は助成期間中要件を満たしていた時の満額です。
受給手続 雇入れ後の賃金締日の翌日から6か月経過後1か月以内に支給申請書及び添付書類(賃金台帳、雇用契約書の写し等)を、ハローワークに提出、以後助成期間満了まで半年ごとに申請


A 高年齢者雇用開発特別奨励金(特定求職者雇用開発助成金)
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用することが確実で1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れた事業主に支給されます。

受給要件 雇用保険の適用事業の事業主であること
・次のいずれにも該当する求職者をハローワーク等の紹介により、週の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れ、かつ1年以上継続して雇用することが確実であると認められること
ア、雇入れ日における満年齢が65歳以上の者
イ、紹介日及び雇入れ日現在、以下のいずれにも該当しない者
 (1)高年齢継続被保険者
 (2)短期雇用特例被保険者
 (3)その他、当該雇入れにかかる事業主以外の事業主と週の所定労働時間20時間以上の雇用関係にある者
ウ、雇用保険被保険者資格喪失日から3年以内に雇入れられたもの
エ、雇用保険被保険者資格喪失日からさかのぼって1年前の日からその喪失日までの間に被保険者期間が6か月以上あった者
・解雇等要件を満たすこと
・帳簿要件を満たすこと
受給額 短時間労働者以外 短時間労働者
中小企業 90万円/1年 60万円/1年
大企業 50万円/1年 30万円/1年
※助成金は6か月ごとに分割して支給されます。上記の金額は助成期間中要件を満たしていた時の満額です。
受給手続 雇入れ後の賃金締日の翌日から6か月経過後及び1年経過後1か月以内に、支給申請書及び添付書類(賃金台帳、雇用契約書の写し等)を、ハローワークに提出

半年ごとの支給申請はどうしても忘れがち。しかし、当事務所に申請業務をお任せいただければ助成金の申請・受給忘れがありません!各種助成金申請代行をはじめ、業務のご相談だけでも随時承ります。ご希望の方は、下記リンク「相談したい」からお問い合わせください。

B 中小企業定年引上げ等奨励金(定年引上げ等奨励金)
65歳以上への定年の引き上げ、希望者全員70歳以上までの継続雇用制度の導入または定年の定めの廃止をした事業主に支給されます。
受給要件 雇用保険の適用事業の事業主であること
・実施日において常用被保険者が300人以下であること
・実施日から起算して1年前の日から実施日前日までの期間、高年齢雇用安定法第8・9条(※)を遵守していること
・次のいずれかの措置を講じ、6か月以上経過していること
ア、現行の定年年齢が60歳以上65歳未満の場合
 (1)65歳への定年年齢の引き上げ
 (2)定年の定めの廃止
 (3)希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入
 (4)希望者全員を対象とする65歳前に契約期間が切れない安定的な継続雇用制度の導入
イ、現行の定年年齢が65歳以上70歳未満の場合
 (1)70歳以上への定年年齢の引き上げ
 (2)定年の定めの廃止
 (3)希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入
・65歳以上への定年年齢の引き上げまたは定年の定めの廃止を実施したことにより、退職することとなる年齢が、平成9年4月1日以降において就業規則等により定められていた旧定年年齢・旧継続雇用年齢を超えるものであること
支給申請日前日において、1年以上継続雇用されている60歳以上の常用被保険者が1人以上いること
高年齢雇用安定法
第八条  事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。

第九条  定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない
一  当該定年の引上げ
二  継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三  当該定年の定めの廃止
2  事業主は、当該事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、前項第二号に掲げる措置を講じたものとみなす。
受給額 現行
60歳以上
65歳未満
企業規模 受給額 現行
65歳以上
70歳未満
企業規模 受給額
定年引上げ
(65歳以上70歳未満)
1〜9人 40万円 定年引上げ
(65歳以上70歳未満)
1〜9人 支給なし
10〜99 60万円 10〜99
100〜300 80万円 100〜300
定年引上げ(70歳以上)又は定年廃止 1〜9 80万円/40万円 定年引上げ(70歳以上)又は定年廃止 1〜9 40万円/20万円
10〜99 120万円/60万円 10〜99 60万円/30万円
100〜300 160万円/80万円 100〜300 80万円/40万円
希望者全員70歳以上まで継続雇用 1〜9 40万円/20万円
(20万円/10万円)
希望者全員70歳以上まで継続雇用 1〜9 20万円/10万円
10〜99 60万円/30万円
(30万円/15万円)
10〜99 30万円/15万円
100〜300 80万円/40万円
(40万円/20万円)
100〜300 40万円/20万円
希望者全員を65歳以上70歳未満まで継続雇用 1〜9 20万円 希望者全員65歳前に契約期間が切れない安定的な継続雇用 1〜9 支給なし
10〜99 30万円 10〜99
100〜300 40万円 100〜300
※斜線後ろの金額は、支給申請日前日に1年以上継続雇用している64歳以上の雇用保険被保険者がいない場合の受給額、カッコ内の金額は、希望者全員65歳以上70歳未満の継続雇用制度を導入済みの事業主が要件を満たした場合の受給額を示す。
上記の加えて、高年齢者の勤務時間を多様化する制度を導入する事業主に対して一律20万円を加算します。
受給手続 実施日から6か月経過した日から1年以内に、支給申請書及び添付書類(就業規則、労使協定等)を、高齢・障害者雇用支援機構に提出

C 高年齢職域拡大等助成金(定年引上げ等奨励金)
希望者全員が65歳〜70歳以上まで働くことができる制度の導入に合わせて、高年齢者の職域拡大や雇用管理制度構築等の取り組みを実施した事業主に支給されます。
受給要件 雇用保険の適用事業の事業主であること
職域拡大等計画を策定・提出し、高齢・障害者雇用支援機構から認定通知書の交付を受けていること
職域拡大等計画(期間2年以内)に基づく措置として、以下のいずれかを実施したこと
ア、計画の実施期間内に、定年の引き上げ等の措置として次のいずれかを実施
(1)新たに希望者全員が65歳まで働ける制度(65歳以上の定年、定年廃止、65歳以上までの継続雇用)の導入
(2)新たに希望者全員が70歳まで働ける制度(70歳以上の定年、定年廃止、70歳以上までの継続雇用)の導入
イ、計画の実施期間内に、職域の拡大等の措置として次のいずれかを実施
(1)高年齢者の職域の拡大
高年齢者が働きやすい事業分野への進出、既存の職務内容のうち高年齢者の就労に向く作業の切出し、高年齢者が就労可能となるような作業設備・作業環境・作業方法の導入・改善等
(2)高年齢者の雇用管理制度の構築
高年齢者にかかる賃金制度・能力評価制度等の構築、短時間勤務制度・在宅勤務制度の導入、専門職制度の導入、研修等能力開発プログラムの開発等
(3)高年齢者従業員の健康維持にかかる取組等(1)・(2)に準ずる取組
・職域拡大等計画の提出日の1年前の日から支給申請日の前日までの期間に高年齢者雇用安定法第8・9条を遵守していること
支給申請日の前日において、1年以上継続雇用されている60歳以上の常用被保険者が1人以上いること
受給額 職域拡大等計画の実施期間内に要した支給対象経費の3分の1
ただし、事業主に1年以上雇用される55歳以上の雇用保険被保険者1名につき10万円(上記アの(1)・(2)の両方に該当する場合は20万円)、合計500万円が上限
上記イの措置の経費に対する助成額についても、対象となる高年齢者の数等に応じて別途上限額を設ける予定。
受給手続 計画提出:職域拡大等計画開始日の6か月前の日から3か月前の日までに、職域拡大等計画書及び添付書類を、
支給申請:職域拡大等計画の実施期間終了日の翌日から2か月以内に、支給申請書及び添付書類を、
それぞれ、高齢・障害者雇用支援機構に提出

計画書の内容や作成の方法、そろえる添付書類がよくわからない…。しかし、当事務所に申請業務をお任せいただければ申請先の担当者も文句なしの書類を作成、準備のご指導をいたします!各種助成金申請代行をはじめ、業務のご相談だけでも随時承ります。ご希望の方は、下記リンク「相談したい」からお問い合わせください。

D 建設業離職者雇用開発助成金
建設業界以外の事業主が、建設業に従事していた
45歳以上60歳未満の離職者を新たに雇い入れた事業主に支給されます。
受給要件 雇用保険の適用事業の事業主であること
建設業を営んでいない事業主であること
・下記の要件すべてに該当する対象労働者をハローワーク等からの紹介により、平成24年3月31日までに、一般被保険者(週の所定労働時間30時間以上)として雇い入れたこと
ア、雇入れ日の満年齢が45歳以上60歳未満であること
イ、雇入れ前1年間に公共職業訓練等を受講していないこと
ウ、次のいずれかに該当する者
 (1)雇入れ前1年間のうち、6か月以上建設事業を行う事業所において建設事業に従事していた(事務・営業を含む)
 (2)雇入れ前1年間のうち、建設事業を行っていた個人事業主又は同居の親族のみを使用する事業主であった
・対象労働者を助成金の受給期間及びその終了後も引き続き雇用することが確実であると認められること
・対象労働者が、雇入れ日の前日から過去1年間に、雇入れた事業主と資本・経済・組織的に密接な関連性のない事業所で就労していたこと
・解雇等要件を満たしていること
・帳簿要件を満たしていること
受給額 雇入れから6か月経過後に45万円(大企業は25万円)、1年経過後に45万円(同25万円)
受給手続 6か月経過日及び1年経過日の翌日から1か月以内に、建設業離職者雇用開発助成金支給申請書、建設業離職者雇用開発助成金対象労働者雇用申告書及び添付書類(賃金台帳、雇用契約書等)を、都道府県労働局に提出
※対象労働者が建設事業に従事していた者であることの確認は、履歴書、職務経歴書、雇用契約書等及び必要に応じて事情聴取等により行います。
※個人事業主又は同居の親族のみを使用する事業主であった場合には、建設業の許可証、廃業届、所得税申告書、履歴書、職務経歴書等により確認を行います。

半年ごとの支給申請はどうしても忘れがち。しかし、当事務所に申請業務をお任せいただければ助成金の申請・受給忘れがありません!各種助成金申請代行をはじめ、業務のご相談だけでも随時承ります。ご希望の方は、下記リンク「相談したい」からお問い合わせください。

E 職場適応訓練費
実際の職場で作業について訓練を行うことにより、訓練終了後、その事業所に常用雇用されることが期待されるときに、職場適応訓練を受託した事業主に支給されます。
受給要件 <職場適応訓練を受託できる事業主>
・職場適応訓練を行う設備的余裕があること
・指導員として適切な従業員がいること
労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金に加入し、またはこれらと同様の職員共済制度を保有していること
・労働基準法及び労働安全衛生法の規定する安全衛生その他作業条件が整備されていること
・職場適応訓練修了後、引き続き職場適応訓練を受けた者を雇用する見込みがあること
<職場適応訓練の要件>
・職種:訓練対象者の能力に適合する作業を内容とする職種
・内容:準備訓練、実務訓練、職場相談
・期間:6か月以内(中小企業における訓練及び重度障害者にかかる訓練は1年以内
<短期の職場適応訓練(職場実習)の要件>
職種:実習修了後雇用された場合に、実際に従事することとなる作業にかかる職種
内容:基礎的知識の付与、基本的作業の実習
期間:2週間以内(重度障害者を対象とする訓練は4週間以内
<訓練対象者の要件>
下記のいずれかに該当する求職者で、ハローワークが再就職を容易にするために職場適応訓練を受けることが適当であると認める者
・雇用保険の受給資格者
45歳以上の求職者
・知的障害者
・精神障害者
・母子家庭の母等
・中国残留邦人等永住帰国者等
受給額 職場適応訓練費 1人あたり月額24,000円(重度障害者25,000円)
短期の職場適応訓練費 1人あたり日額960円(重度障害者1,000円)
受給手続 職場適応訓練(職場実習を除く)の委託を受けようとするときに、支給申請書及び添付書類を、ハローワークに提出

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