大正11年の健康保険法制定に始まった日本の医療保険制度は、昭和36年の国民皆保険実現以来、日本国民は何らかの医療保険制度に加入しなければならない義務を負い、及び何らかの医療保険制度に加入できる権利を得ました。 ここでは、被用者医療保険のしくみについて触れ、加入の義務とそのメリットについて見ていきたいと思います。 |
@ 被用者医療保険の種類 現在、被用者医療保険として3つの形態があります。 組合健保や共済組合は組合により扱いが大きく異なるため、このホームページでは被用者医療保険については協会けんぽの制度を中心に説明します。 |
A 協会けんぽの加入要件 下記の要件を満たす事業所及びその事業所に使用される労働者は、協会けんぽに加入しなければなりません。 1、事業所の加入要件(強制適用事業所該当事業所)
(1)・(2)の要件のいずれにも該当しない事業所は任意適用事業所になります。なお、要件の「従業員」は被保険者となるべき従業員だけではなく、被保険者にならない従業員も含まれます。 2、従業員の加入要件(勤務先が強制適用事業所・任意適用事業所を問わず)
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B 被扶養者要件その1(奥様編) 「私は主人の扶養に入っているから扶養の範囲内で働きたい」、「130万円の壁ってなんですか?」といった要望や疑問をあちらこちらでよく目にします。世の奥様方はいわゆる「103万円の壁」・「130万円の壁」・「141万円の壁」といった収入のラインは頭にあるものの、実際それが何の意味を持つのかよく理解していない人がいます。ここでは、奥さんを対象に、「130万円の壁」の説明のついでに他の2つの壁についても説明しましょう(子や。 1、130万円の壁 130万円の壁は、健康保険及び国民年金において健康保険被保険者及び被用者年金被保険者の被扶養配偶者になれるかどうか、つまり扶養に入れるかどうかの基準となる給与収入です。 130万円の壁を超えるか否かは、被保険者であるご主人が会社に被扶養者異動届を提出する時点で、奥さんが、安定的に収入を得ることが見込めるかどうかで判断します。 したがって、正社員として働いていた奥さんが7月末に仕事を辞めた場合、1月から7月までの給料がたとえ1,000万円あろうとも、その後一切収入がなければご主人の扶養に入ることができます。 しかし、また違う仕事をしようと考え、雇用保険から失業手当を受給できるようになると、月額108,333円を超える収入が得られる状態になるため、ご主人の扶養から外れなければなりません。その間は、奥さん本人が自分で国民健康保険や国民年金(第1号被保険者)に加入して保険料を負担しなければなりません。 2、103万円の壁・141万円の壁 103万円の壁は、所得税・住民税のお話です。ご主人は会社で年末調整をします。そのときに「平成○年分給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」及び「平成○年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の2枚の申告書を提出します。 ここで、配偶者である奥さんの「年内の見込み給与収入」(実際には、「所得の見積額」であり、ここでは便宜上給与収入と表示)を2枚ともに書いて提出しますが、この「年内の見込み給与収入」が103万円を超えると、ご主人の配偶者控除対象者から外れてしまい、配偶者特別控除対象者に移されてしまいます。 それと同時に、奥さん自身の収入に所得税・住民税が課税されます。「103万円の壁」という言葉の由来はここにあります。 |
配偶者控除はご主人の収入から一律38万円(住民税は33万円)の控除が受けられます。 一方、配偶者特別控除は奥さんの収入が増えるにつれてご主人の収入からの控除額が減っていき、給与収入141万円で控除額がゼロになる仕組みになっています(右表、住民税は※の区分の控除額が33万円)。141万円の壁という言葉の由来はここにあります。 |
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当事務所では、社会保険・労働保険の観点から、をさせていただいております。ご希望の方は、下記リンクの「相談したい」からお問い合わせください。
C 被扶養者要件その2(子ども編) 子どもも高校生や大学生にもなると小遣いや学費稼ぎのため、アルバイトをしたいと言い出します。しかし、子どもの場合も注意していないと、うっかり扶養家族から外される事態に陥ることになります。 1、130万円の壁 考え方は、奥様編と全く同じです。安定的に収入を得ることが見込める場合は、健康保険の被扶養家族から外され、子ども自身が自分で国民健康保険やアルバイト先の健康保険に加入しなければなりません。 2、103万円の壁 こちらも考え方は、奥様編と全く同じです。お父さんの年末調整の時の「平成○年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「年内の見込み給与収入」を書き、その額が103万円を超えると扶養控除対象者から外れてしまいます。 それと同時に、子ども自身の収入に所得税・住民税が課税されます。 |
D 被扶養者要件その3(高齢者編) 自分の親も年老いて年金暮らしになったのでそろそろ自分の扶養家族に入れようか、そう考えたとき、収入がいくらだったら扶養家族にできるのか、それをここで説明します。 1、 60歳以上75歳未満の親等を健康保険の扶養家族に入れたい場合は、その人の収入が年間180万円未満でなければなりません。年金生活者の場合は、その額がでなければ被扶養者にすることはできません。 扶養家族が75歳に到達したときは、その人は後期高齢者医療制度の被保険者になりますから、被扶養者資格を喪失します。 2、 60歳以上65歳未満の親等の場合は、「年内の見込み収入」が年金収入のみの場合108万円未満(本人の年金控除最低70万円+基礎控除38万円)であれば、扶養控除対象者として扶養家族に入れることができます。 3、 65歳以上の親等の場合は、「年内の見込み収入」が年金収入のみの場合158万円未満(本人の年金控除最低120万円+基礎控除38万円)であれば、扶養控除対象者として扶養家族に入れることができます。 |
E 被扶養者要件まとめ 健康保険の被扶養者として認定されるためには、次の要件を満たす必要があります。 1、被保険者との続柄 2、生計維持要件 (1)アに該当する者 被保険者に生計を維持されている者(B〜Dの収入未満であり、かつ被保険者の収入の半額未満であること) (2)イ・ウに該当する者 被保険者と同一世帯で、被保険者に生計を維持されている者(同上) 例えば、被保険者の実の弟は離れて住んでいても生計を維持していれば被扶養者にすることができますが、実の兄は一緒に暮らして生計を維持していなければ被扶養者にすることができません。
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